手のひらが描けないのは、指から描き始めているから|先に決めるのは「台形と山」の土台
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手のひらがのっぺりして、平面に見える。 指を5本並べると、手全体が変になる。 手は毎日描いているのに、上達しない。
どれも同じ原因から起きています。 指から描き始めているからです。
なぜ手のひらだけ、いつまでも描けないのか?
指から描き始めているからです。 手で目立つのは指なので、多くの人は指から線を引きます。 けれど指を置く土台である手のひらが決まっていないと、5本の付け根をどこに置くかは、そのつど手元の勘で決まります。
そもそも手は、体の中でも手ごわい場所です。
「手は人体の中でも描くのが難しいパーツです。」(モグ)
「手のひらはポーズによって大きく形が変わる部位です。」(モグ)
難しさは講座の作りにも出ています。 POSEMANIACSの『模写で上達!初心者のための人体ステップアップ講座』は全22章あり、そのうち手の描き方だけで2章(13章「人体の描き方③「手 前編」」・14章「人体の描き方④「手 後編」」)を使います。 手の色塗りにも、さらに2章(19章・22章)が割かれています。
その手の描き方は、手のひらから始まります。
「図形化の流れですが、まずは手のひらを書いてそこに親指の土台となる三角形を追加します。」(モグ)
指は、手のひらとつながったものとして扱われます。
「指だけバラバラに描くのではなくて、指と手のひらがつながっていることを意識しながら描いていきます。」(モグ)
つまり、うまく描ける人は手のひらを先に決めてから、その上に指を並べています。 描けない原因は才能やセンスではありません。 描き始める順番が、1つずれているだけです。
講座の実演画面にも、その順番が残っています。
描きかけの手。ピンクの図形の線が濃く残っている
図形の線が残っているのは、この段階までです。
線画が仕上がると、図形の線は残らない
図形の線は下書きなので、線画が仕上がると絵には出てきません。
「手は毎日描いて慣れろ」が省略している前提
省略されているのは、何から描き始めるかです。 毎日描くこと自体は効きます。 ただし、描き始める場所が毎回違えば、身につくものも毎回変わります。
慣れた人は、この「何から」を頭の中で済ませています。 それを目に見える形にしたのが図形化です。
手の図形化とは、複雑な形をした手を、台形や円柱などの簡単な図形に置き換えてから描く方法です。
置き換えると、平面の絵が立体に見えるようになります。
「複雑な構造をしている手を簡単な図形で置き換えることで手の厚みや奥行きを意識しやすくなり、立体的な絵に仕上げることができます。」(モグ)
図形を挟むぶん遠回りに見えますが、実際は逆です。
「何より真っ白なキャンバスにいきなり手を描くよりも先に図形化しておくことで描くハードルがグッと下がります。」(モグ)
直す手間も、図形の段階なら軽く済みます。
講座でも、図形化した時点でバランスや長さの違和感に気づけるので修正も簡単だと言われています。
講座には、図形から線画までの流れを1枚にまとめたスライドがあります。
手を図形に置き換えてから線画に起こすまでの流れ
同じ手でも、最初に描くものが違うと、起きることが変わります。
指から描き始めると、指の付け根を置く場所が最後まで決まりません。形が変だと気づくのは、描き込んだあとです。 手のひらの土台から描き始めると、指の付け根を置く場所が先に決まります。形が変なら、図形の段階で気づいて直せます。
手のひらは「台形と山」の土台から描く
手のひらの土台とは、指を置く場所を決めるための下書きです。
台形・山・三角形・膨らみという簡単な形だけでできています。 下書きなので、線画が仕上がるときには消えます。
作り方は3手順です。
手順1: 台形と山で手のひらの形を取る
手のひらの輪郭を、四角に近い形で取ります。 下の手首側が狭く、上の指側が広い形です。
「手のひらはこういう台形のような形で表すことができます。」(モグ)
台形の上に、もう1つ形を足します。 指の付け根は横一直線ではなく、中指のところがいちばん高くなっています。
「中指のところを頂点とした山のような形を上に乗せていきます。」(モグ)
画面の下の字幕は「中指を頂点とした山のような形」
手順2: 親指の土台の三角形を足す
親指は、手のひらの台形からは外れた位置にあります。 そこで、台形の横に三角形を1つ足します。
「まず手のひらは台形に山をつけたような形にします。それから親指の土台は三角形。」(モグ)
三角形は、台形と山ができたあとに足す別の形です。 この順で足すと、親指の付け根が手のひらの横に収まります。
手順3: 膨らみ3つと真ん中のへこみを足す
ここまでは平らな形です。 手のひらは平らではなく、場所によって盛り上がっています。
「手のひらの膨らみを3つに分けると、 まず1つ目が親指の下。 2つ目が小指のところの膨らみ。 3つ目が指の付け根のところに分けられます。 この真ん中の三角形のところは少しへこんでいます。」(モグ)
3つの膨らみに囲まれた真ん中は、逆に沈みます。
画面の下の字幕は「手の平の膨らみを3つに分ける」
膨らみ3つと、真ん中のへこみ。 この4つが入ると、平面に見えていた手のひらに厚みが出ます。
「この真ん中の三角形のところは少しへこんでいます。こんな風に捉えると手のひらが描きやすいかなと思います。」(モグ)
描いた手のひらは、3つの長さで確かめる
描いた土台が形として成り立っているかは、長さくらべで確かめられます。 見るのは次の3つです。
人差し指側の縁は、小指側の縁より長い
指先側の辺は、手首側の辺より長い
手のひらと指の長さは、だいたい1対1
1つ目は、台形の左右の縁です。
「この小指側の側面の長さと人差し指側の側面の長さを比べ、人差し指側の方が長いです。」(モグ)
2つ目は、台形の上下の辺です。
「手首の側面の長さと指先側の側面の長さを比べると指先側の方が長いです。」(モグ)
3つ目の1対1には、少し説明が要ります。 実物の手を測ると、手のひらの方が長いからです。
「次は手のひらの長さと指の長さですが、これらを比べると手のひらの方が長いです。ただ、もう少し指を長くする方がバランスよく感じるので、私は手のひらの長さと指の長さはだいたい1対1になるように描きます。」(モグ)
実物の長さと、絵として見たときのバランスの目安は、別のものとして扱います。 測った事実は「手のひらの方が長い」、モグさんが絵で使う目安は「だいたい1対1」です。 確かめに使うのは後者です。
上達への最初のステップ: 手のひらだけを3枚
自分の反対側の手か、手を写した写真を1枚用意します。 それを見ながら、土台だけを3枚描きます。
台形を取って、中指を頂点とした山を上に乗せる
横に、親指の土台の三角形を足す
膨らみ3つと、真ん中のへこみを足す
同じ手のまま、角度を変えて3枚。 3つの長さで確かめるところまで入れて、30分で終わる分量です。
この練習で気にしないことがあります。 指と爪とシワは描きません。 線のきれいさも見ません。
土台の形だけに意識を向けるためです。 指まで描くと、そちらに時間と注意が移ります。
この形の練習をすすめているのは、講座の中でもモグさんです。
「はじめは手全体を図形化して描くのではなく、まずは部分的に図形化してみるという練習方法をお勧めします。」(モグ)
「分割して練習することで、構造理解と描写の精度が無駄なく向上します。」(モグ)
分けて練習すると、1回が短く済むという利点もあります。
指先だけ、手のひらだけなら短い時間で練習できる、とも言われています。
手を1枚まるごと仕上げるより、手のひらだけを3枚のほうが早く終わり、進んだ感覚も残ります。
まとめ: 手のひらは、指より先に決める土台
手のひらが描けないのは、指から描き始める順番が原因。
土台の形は、台形と山、親指の三角形、膨らみ3つと真ん中のへこみ。
確かめるのは3つの長さ。人差し指側の縁が長い、指先側の辺が長い、手のひらと指はだいたい1対1。
まずは同じ手を角度を変えて、土台だけ3枚描く。
土台を先に決めれば、5本の指には最初から置き場所があります。
この描き方に慣れると、手のひらは資料を見ながら写すものから、頭の中で組み立てられるものに変わります。
「さらに図形としての把握ができれば想像で描けるようにもなります。」(モグ)
「ポーズ集や写真に頼らず、自由なポージングも可能になってくるのでぜひ挑戦してもらえたらなと思います。」(モグ)
この記事で出したのは、土台の形と、その確かめ方までです。 土台に指を組み付けて線画に起こし、色を塗るところまでは、
『模写で上達!初心者のための人体ステップアップ講座』
(講師: モグさん)の13章・14章と、手の色塗りの19章・22章で扱われています。
手のひらの土台が描けるようになった今が、その入り口です。
引用の出典は『模写で上達!初心者のための人体ステップアップ講座』(講師: モグ)です。