毎日描いても上手くならない人が、クロッキーの前に決めていないこと
Posemaniacs運営・
毎日クロッキーや模写を続けているのに、イラストが上手くなった実感がない方向けの記事です。
「これだけ描いているのに、なぜ変わらないんだろう」。 そう感じているなら、原因はあなたの努力不足ではありません。
結論から言うと、伸びないのは枚数の問題ではなく、1枚ごとに「何を見るか」を決めていないからです。 目的を決めずに枚数だけを重ねると、反復がただの“作業”になります。
この記事では、いつものクロッキーを「自分の課題を1つ見つける道具」に変える使い方を、実演講座の一次情報から紹介します。
毎日描いているのに、なぜ変わらないのか
伸びない一番の原因は、量ではなく「1枚ごとの目的」が決まっていないことです。 枚数をこなすこと自体がゴールになると、描き終わった瞬間に反省も改善もないまま次の1枚へ進みます。
これは実演講座でも繰り返し相談される悩みです。 クロッキー活用術の講師・五七翔二さんは、指導の実感をこう話しています。
皆さんからのご相談を受ける中で、課題を立てるっていうのが苦手な方が結構多いなという印象があって
つまり「もっと描かなきゃ」と枚数を増やす前に、そもそも「今日は何を直すか」という課題を立てる工程が抜け落ちている人が多い、ということです。 あなたが悪いのではなく、順番が抜けているだけです。
「とにかく枚数を描け」が省略している前提
クロッキーとは、短い時間で対象の全体を素早く描き取る練習法です。
だから「枚数を描け」というアドバイス自体は間違っていません。
ただし、この言葉は大事な前提を1つ省略しています。 五七翔二さんは講座の中で、少し極端な言い方だと前置きしたうえでこう言い切っています。
クロッキーを積み重ねてもクロッキーが上達するだけ
ご本人も「かなり極端な言い方をしているので…補足させてください」と続けているとおり、これはクロッキーを否定する言葉ではありません。 言いたいのは、クロッキーを積み重ねて最短で上手くなるのは「クロッキーそのもの」であって、イラストの上達に繋げるには“間”の工程が要る、ということです。
クロッキーの積み重ねだけで上達するのはクロッキー。本当の目的は「イラストの上達」(講座スライドより)
その“間”こそ、多くの人が飛ばしている部分です。
クロッキーは「課題を1つ見つける道具」として使う
では、その“間”の工程とは何か。 描いた後に「見直して、直す課題を1つに絞る」ことです。
五七翔二さんは、クロッキーの位置づけをこう表現しています。
クロッキーって自分の課題を洗うための診断ツールとしても使えるんじゃないかなって僕は思ってます
ここで言う
診断ツールとは、自分の絵の弱点がどこにあるかを浮かび上がらせるための道具
という意味です。 上達は「計画→実行→見直し→改善」というサイクル(PDCAと呼ばれます)で進みますが、クロッキーはこのうち「実行」にすぎません。 描いて終わりにすると、残りの「見直し→改善」がまるごと欠けてしまうのです。
見直しで使う4つの観点
見直すときは、やみくもに眺めるのではなく観点を持ちます。 五七翔二さんが挙げるのは次の4つです。
立体感 構造 シルエット ディティール、この4つの観点でぜひぜひ皆さんには分析してみてほしい
立体感
— 奥行きや厚みが出ているか
構造
— 体の各パーツの向きや繋がりが合っているか
シルエット
— 輪郭だけで何のポーズか伝わるか
ディティール
— 細部の描き込みが破綻していないか
見直しの観点は4つ — 立体感・構造・シルエット・ディティール(講座スライドより)
大切なのは、気になった点を全部直そうとしないことです。 講座で最も強調されているのは、課題を1つに絞るという原則です。
大事なのは一個に縛るってことなんです
その理由も語られています。 人間が一度にこなせる量には限りがある、と講座では説明されています。
思ってる以上に少ないです
あれもこれもと欲張ると、手が散って結局どれも身につきません。 だから4観点のどれか1つだけを、次の反復に持ち越すのです。
作業になっている反復 vs 目的を決めた反復
同じ枚数を描いても、この工程の有無で効き方は変わります。
描く前 — 作業になっている反復: なんとなく枚数を目標にする / 目的を決めた反復: 今日見る観点を1つ決める(4観点から選ぶ)
描いた後 — 作業になっている反復: 描きっぱなし / 目的を決めた反復: 赤ペンでなぞり直して手本と見比べる
見つけた課題 — 作業になっている反復: 全部気になって手が散る / 目的を決めた反復: 1つに絞って次の反復に持ち越す
結果 — 作業になっている反復: クロッキーだけが上手くなる / 目的を決めた反復: イラストの上達に繋がる
なお、4観点それぞれで「具体的に何をどう見るか」の分析実演や、体を単純な箱に置き換えて向きを確かめる方法は、講座
『イラスト上達に直結するクロッキー活用術』
(講師: 五七翔二)で扱われています。 この記事では「観点の名前と、1つに絞るという選び方」までを押さえてください。
今日の30分: 5体描いて、1体だけ見直す
新しい練習メニューを増やす必要はありません。 いつものクロッキーの最後に「見直し」を足すだけです。
1ポーズ1分で5体描く(5分)
5体から一番気になる1体を選ぶ(1分)
手本を見ながら、上から赤ペンでなぞり直す(10分)
手本とズレた場所を、立体感・構造・シルエット・ディティールのどれかに当てはめてメモする(10分)
課題を
1つだけ
選んで、明日のクロッキーで見るポイントにする(1分)
「5体でいいの?」と思うかもしれません。 五七翔二さん自身の練習量は、こう語られています。
僕やるときはだいたい紙1枚埋める程度で考えてます、だいたい10体くらい
普段10体の人でも、まずは半分の5体で十分です。 枚数を稼ぐより、1体をしっかり見直すほうが効くからです。
無料で今日から回す場所: ポーマニのクロッキー機能
この反復は、専用の道具がなくても始められます。 POSEMANIACSの30秒ドローイング(時間は1分などに変更できます)と履歴機能だけで回せます。
五七翔二さんは、見直しを前提にすれば上手く描けなくていい、と受講者に声をかけています。
クロッキーって別にうまく書けなくていいんですよ。だって自分の課題を浮かび上がらせるための診断ツールなので
上手く描けなくていい、という一言は大事です。 きれいに描くのが目的ではなく、課題を見つけるのが目的だからです。 五七翔二さんは、この履歴機能を見直しに使うことを勧めています。描いたポーズは履歴から振り返れます。
30秒ドローイングの…履歴を確認できます、100ポーズまで
1分だともうシルエットしか取る時間ないです。3分はちょっと細かいとこ描けるかな。5分は顔書く余裕あるかも
つまり、まずは1分でシルエットだけを取り切る練習から始めるのがおすすめです。 green322さんは目安の量にも触れています。
1分で輪郭を取り切るって思いながら、これをできたら1日10体とかしてほしいですね
1日10体という数字は、先ほどの五七翔二さんの「紙1枚≒10体」とちょうど揃います。
POSEMANIACSの30秒ドローイングを無料で試す →
(無料アカウントで使えます)
まとめ
伸びないのは枚数不足ではなく、1枚ごとの目的を決めていないから
クロッキーは「課題を1つ見つける診断ツール」として使う
見直しの観点は立体感・構造・シルエット・ディティールの4つ。課題は必ず1つに絞る
今日の一歩は「5体描いて、1体を赤ペンで見直し、課題を1つメモする」
4観点それぞれの分析のやり方と、見つけた課題をどう日々の練習に変換していくかの実演は、講座
『イラスト上達に直結するクロッキー活用術』
(講師: 五七翔二)で扱われています。 「この先の順番」を知りたくなったら、そこが続きの入り口です。
あわせて読むと理解が深まります。
この記事は『イラスト上達に直結するクロッキー活用術』(講師: 五七翔二)および『クロッキーで養う絵で食べる力!~ポーマニ活用編~』(講師: green322)の内容をもとにしています。