POSEMANIACS

日本語


素体とは何か? 服から描くとイラストが崩れる理由

素体とは何か? 服から描くとイラストが崩れる理由

Posemaniacs運営

服を着せると、体がおかしくなる。 立たせたつもりなのに、立って見えない。 何度描き直しても、どこか噛み合わない。

どれも、描き始める順番から起きています。 服より先に、体を決めていないからです。

ここで言う素体とは、服を着せる前の、体だけの下書きです。

服を着せると、なぜ体がおかしくなるのか?

服から描き始めていて、体の位置が最後まで決まらないからです。 服を先に描くと、服の下にあるはずの体の位置が決まらないまま、線が進みます。 そして最後に、体の位置を服が決めてしまいます。

スカートで考えると分かりやすいです。 先にスカートを描いて、その裾から足を生やす。 足はスカートに合う場所へ置かれます。 体として自然な場所とは限りません。

講座のスライドにも、同じ形のミスが並べてあります。

画面下の文は「NG例の方は腰と足がつながっていないように見えるが・・・」

同じ2枚に、体の下書きを重ねたのが次の画面です。

水色の線が、スカートの下にある体

水色の線が、スカートの下にある体です。 NG側は、その線から足が外れています。

『「イラスト講師たか」のオンラインお絵描き塾』では、こう説明されています。

「足の位置が大きくずれているとスカートを描いてから足を生やすとこういうミスが起きがちなので、素体の上からスカートを履かせるイメージで描く。」(イラスト講師たか)

この描き方には、名指しで注意が入ります。

「初めにスカートを描いちゃって、足を描くみたいなね。この描き方は非常にデンジャラス。危険ですね。」(イラスト講師たか)

そのうえで、描く順番が言われます。

「なので、やっぱり素体をまずしっかり描いてから、そこに合わせて服を履かせるっていう感じです。」(イラスト講師たか)

崩れる原因は、才能やセンスではありません。 描き始める場所が、1つずれているだけです。

「素体なんて描かなくていい」は、何を省略しているのか?

講座の中で省略できると言われているのは、素体ではありません。 その手前の工程です。

服から描きたくなる気持ちは、教える側も通ってきた道です。 たかさんは、課題添削の場でこう話しています。

「確かに自分もそうだね初め絵を描く昔とか絵を描いてる時ってその素体に服を着せるとかしなかったもんね確かにダイレクトで服描いたりしてたもんね」(イラスト講師たか)

素体がいらないという意見があることも、その場で話題に出ています。

「素体に関しても諸説あるんですけど素体なんて書いちゃダメだ書かなくていいっていう派閥の人もどっかで見たことあるなそういえばね」(イラスト講師たか)

では、省略はどこで起きるのか。 講座には、体を箱っぽく捉えてパース線に合わせる工程が出てきます。

左の枠には線だけ、右の枠にはその線に沿った体がある

この工程について、こう言われています。

「箱っぽく捉えてしっかりパースに合わせるというところをまずは感覚をつかんでいくということになりますこちらねパースに慣れてくるとこの工程を省略して最初から素体を書くこともできるようになります」(イラスト講師たか)

慣れるまでの話も、続けて出てきます。

「上手い人とかだとねわざわざ箱っぽく捉えてないこともあるかもしれないんですけども慣れるまではねとらえるといいと思います」(イラスト講師たか)

省略は、慣れた後に起きています。 そして省略された後も、素体は描かれています。

同じ絵でも、最初に描くものが違うと詰まる場所が変わります。

素体を先に描くと、体の位置と重心が先に決まります。崩れたときは、素体を直せば済みます。 服を先に描くと、体の位置が最後まで決まりません。崩れたときに、どこを直せばいいのか分からなくなります。

素体とは、何を先に決めるための下書きか

素体とは、服や髪を描く前に、体の動き・重心・服が密着する場所を先に決めるために描く、体だけの下書きです。

素体の線は、清書のときに見えなくなります。 それでも、決めた動き・重心・体の位置は、そのまま絵に残ります。

たかさんは、複雑な形を単純な立体に置き換えて考えます。 素体も、その置き換えでできています。

「素体もね頭部は球体とか体は箱っぽい感じとか腕とか足は円柱っぽい感じ」(イラスト講師たか)

球・箱・円柱に置き換えたうえで、次の3つを決めます。

決めること1: 体の動き

動きのある絵とない絵の差は、素体の段階でついています。 講座には、動きのある素体とない素体を並べたスライドがあります。

左が「動きがある」、右が「動きがない」

「素体の動きについて改めて見てみましょう」(イラスト講師たか)

最初に挙がるのは肩です。

「動きある方はまず肩ね肩が大きく盛り上がっていますね」(イラスト講師たか)

肩の高さが変わると、そこから先も一緒に動きます。

「肩から指先体から足にかけて大きな流れがある」(イラスト講師たか)

この盛り上がりも流れも、体の骨組みそのものが持っています。 だから素体の段階で決まります。

課題の出し方も、そこに合わせてあります。

「課題内容は動きを意識して素体と着衣バージョンを一つずつ書いてください」(イラスト講師たか)

「素体を書いて動きを意識する」(イラスト講師たか)

素体と着衣を1枚ずつ描く課題です。 素体の側でも動きを確かめる並びになっています。

決めること2: 重心

立たせたつもりなのに立って見えないときは、重心を見ます。 重心は、線が少ない素体の段階がいちばん見やすいです。

支えている足から、真上に線を1本引きます。 講座では、この線をスライドで示しながら説明しています。

オレンジの縦線の左右で、体積を見比べている

画面の「体を支えている点」から真上に線を引く、と説明されています。

見るのは、その縦線をはさんだ左右です。

「左側の体積とこの右側の体積が近い状態であればだいたい重心が取れている」(イラスト講師たか)

左右の体積が釣り合っていれば、立って見えます。 片側に寄っていれば、倒れかけて見えます。 服や髪を描き込んだ後では、この1本が他の線に紛れます。

決めること3: 服が密着する場所

服の形を考えるときは、下にある体を見ます。 体から張り出したところほど、服は密着しやすくなります。

「肩とか胸みたいに張り出しているパーツっていうのは服と素体が密着しやすいですね」(イラスト講師たか)

肩と胸が張り出していれば、そこに布が触れやすくなります。 張り出しの場所が決まると、服の形も見当がつきます。

素体と服、素体と動き、素体と重心は、どれも

『「イラスト講師たか」のオンラインお絵描き塾』

の中でつながって出てきます。

上達への最初のステップ: 自分の絵に素体を透かす

用意するのは、直近に描いた、服を着たキャラの絵1枚です。 その絵の上で、次の3つをやります。

  • 服の下にあるはずの体を、上からなぞる(15分)

  • 支えている足から真上に線を1本引き、左右の体積を見比べる(10分)

  • ずれていた場所を、1行メモする(5分)

この練習で気にしないことがあります。 きれいに直すことです。 ずれを見つけたら、そこで止めて構いません。

狙いは、描く前に決まっていたかどうかを、自分の絵で確かめることです。 なぞった体と実際の絵がそろっていれば、描く前に決まっていた印です。 ずれていれば、描きながら探していた印です。

ここが分かると、次の1枚が変わります。 ずれた場所を先に決めてから、描き始められます。

まとめ: 素体は、服より先に決めるための下書き

  • 服を着せると崩れるのは、体の位置を決めないまま服から描き始めているから。

  • 素体で決まるのは、体の動き・重心・服が密着する場所の3つ。

  • 重心は、支えている足から真上に線を1本引いて、左右の体積を見比べる。

  • まずは自分の絵1枚に素体を透かして、ずれた場所を1行メモする。

素体は、絵を遅くする工程ではありません。 崩れる原因を、描き始める前に潰しておく工程です。

取り込み済みの講座字幕を調べると、「素体」という語は81回、80本の字幕のうち29本に出てきます。 服、動き、パースと、場面を変えて何度も戻ってくる考え方です。

『「イラスト講師たか」のオンラインお絵描き塾』

(講師: イラスト講師たか)の販売ページには、講座の中身がこう書かれています。

「課題作品添削とオリジナル作品添削を主軸としたイラスト講座となっており、イラストの基礎を幅広くトレーニングしてレベルアップを目指します。」(『「イラスト講師たか」のオンラインお絵描き塾』販売ページ)

素体で何を決めるかが分かった今が、その入り口です。

引用の出典は『「イラスト講師たか」のオンラインお絵描き塾』(講師: イラスト講師たか)です。

この記事の元になった講座