陰影とは何か|影の場所は、塗る前に決まっている
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影をどこに塗ればいいのか分からない。 影をつけても、立体的に見えない。 影の色も形も、なんとなくで決めている。
どれも同じ原因から起きています。 影の場所を決めないまま、塗り始めているからです。
この記事は、塗りが平面的なところで止まっている方向けです。
『塗りの基本〜陰影の立体とデザイン編〜』(イラスト講師たか)で扱われるモチーフは、本です。
ベースを塗る→面の向きを考えて陰影をつける→濃淡をつける、の順に並んでいる
同じ本を、濃淡までつけたところ
なぜ影をつけても立体的に見えないのか?
影の場所を決めないまま、塗り始めているからです。 影の場所は、面の向きと、光源(光がどちらから来るか)が決まれば、塗る前に決まります。 決めないまま塗り始めるから、何段階影を重ねてもぼやけたままになります。
イラスト講師たかは、これまで見てきた人の絵について、こう話しています。
「これ今過去いろんな人見てきてまず影がどこにつくか把握できない状態で厚塗りしてる方っているんですけどそれはねただなんかガサガサ塗ってるだけでやっぱ立体感とか質感が全然取れてなかったりして塗りもなんかぼやけた感じになるんですよね」(イラスト講師たか)
厚塗りの話として出てきますが、詰まっている場所はブラシの扱いではありません。 塗り始めるより前に、影の場所が決まっていないことです。
だから講座では、この順番が示されます。
「まず影がどこにつくか把握した方がいいと思います」(イラスト講師たか)
自分がどちらなのかは、塗った影に理由を言えるかで分かります。 1影・2影というのは、塗りの手順で、ベースの上に重ねる1段目・2段目の影のことです。
「そもそもじゃあ1影って何のためつけてるんですかとか2影って何のためつけてるんですかとかそこがあまり整理されてなかったりする人って結構いるんですよね」(イラスト講師たか)
才能やセンスの問題ではありません。 決める順番が、1つ入れ替わっているだけです。
なぜ、ぼかしとグラデーションに手が伸びるのか?
影の場所が決まっていないからです。 場所が決まっていないと、影の境目をどこに引くのかも決まりません。 そこで手が伸びるのが、境目を作らずに済むぼかしとグラデーションです。
「影をつけましょう」という説明はよく見ます。 省略されているのは、その影をどこに置くのかの決め方です。 決め方が抜けたまま「影をつける」だけが残ると、置き場所ではなく色から入ることになります。
「割と塗りうまくいかないなという方って、結構ザサッとなんとなく暗い色塗ったり、緑入れたり、明るい色入れたりとかあると思うんですけども」(イラスト講師たか)
影の一つひとつには、そこに出ている理由があります。
「何のために出てるかとかそういったものをね知っていくっていうのが大事なんですよね」(イラスト講師たか)
講座の質疑では、「陰影をつける際にエアブラシやぼかしを多用してしまうぼやけた印象のイラストになってしまう」という質問が出ています。 たか先生の返事は、こうでした。
「これねすごくよくありますちなみに私もそうでした」(イラスト講師たか)
呼び名までついています。
「私とか私の周りでぼかし病なんて言葉を使って」(イラスト講師たか)
抜け出し方も、道具を捨てる話ではありません。
「エアブラシを使うときは例えば最後のグラデーションで使うときはいいんですけどもそれ以外服のシワ描くとかそれ以外は使わないという縛りを設けて」(イラスト講師たか)
使う場所を、最後のグラデーションだけに残す。 その縛りの目的も言われています。
「まずはちゃんとアニメ塗りで形を捉える」(イラスト講師たか)
アニメ塗りは、色の境目をはっきり引く塗り方です。 境目を引くには、影の場所が先に決まっている必要があります。
同じ絵でも、先に決めるものが違うと、迷ったときの行き先が変わります。
いきなり影の色から選ぶと、影の場所は最後まで決まりません。迷ったときは、ぼかして目立たなくするしかなくなります。 面の向きと光源を先に決めると、影の場所は塗る前に決まります。迷ったときは、どの面が光の方を向いているかに戻れば済みます。
陰影とは何か——面の向きと光源で決まる明暗
陰影とは、物体の面が光に対してどちらを向いているかの結果として生まれる明暗のことです。
明るいところと暗いところは、色の好みで決まっているのではありません。 その面がどちらを向いているかで決まっています。 だから講座の立体表現の説明も、面の話から始まります。
「物体には面が存在してます」(イラスト講師たか)
「光が当たった面は明るく光が当たらない面は暗くなるとそしてそれらの面を組み合わせると物体は立体として浮かび上がる」(イラスト講師たか)
スライドでは、灰色の箱を使って面が示されます。
1つの箱に、上向き・左向き・右向きの3つの面がある
この箱に、光を当てます。
「例えばこれに左斜め上から光を当てるとどうなるかというと面の向きによって明るさが変わると」(イラスト講師たか)
「この際光源がある方向を向いている面ほど明るくなるっていうので上から当たれば上が一番明るい側面は左の面の方が明るい右面が一番暗くなるということでちゃんと立体的な箱として浮かび上がる」(イラスト講師たか)
上の面がいちばん明るく、左の面、右の面と暗くなっていく
明るい順が、上の面、左の面、右の面と決まりました。 決めたのは色ではなく、光がどちらから来るかです。
複雑な形は、箱・円柱・球体に置き換える
ここまでは箱の話です。 キャラクターも服も、箱ではありません。 そこで、複雑な形をいったん簡単な形に置き換えます。
「まずは簡単な形状に置き換えるところから始めるっていうのがこの世界ではよく言われていることなんですね」(イラスト講師たか)
「その中で最もシンプルな形状として挙げられるのが箱円柱球体で」(イラスト講師たか)
この講座で扱う基本形体は、箱・円柱・球体の3つです。
箱・円柱・球体の3つ
キャラクターや服のような複雑な形も、まずこの3つのどれかに置き換えてから光を当てる。 たか先生の進め方はこの順番です。 置き換えてしまえば、面の向きで明暗が決まるという話が、そのまま使えます。
このスライドの上の方には、着彩のポイントが2つ書かれています。
「まずね着彩するときに考えてほしいのが立体表現とデザイン」(イラスト講師たか)
1つ目が、ここまで見てきた立体表現です。 もう1つがデザインです。
「もう一つがこれデザインでこれは立体とは違くて陰影の配置と形を考える」(イラスト講師たか)
「塗りがねちょっと苦手だなとかうまくいかないなっていう方はこのどっちかもしくは両方が苦手な場合がすごく多いので」(イラスト講師たか)
ここまで見てきたのが、1つ目の立体表現です。 陰影の配置と形をどう考えるか、というもう1つの軸は講座の中にあります。
『塗りの基本〜陰影の立体とデザイン編〜』
には、本(箱状のモチーフ)をアニメ塗りと厚塗りの2通りで実際に塗り切る実演が入っています。
上達への最初のステップ: ティッシュの箱を3色でベタ塗りする
用意するのは、ティッシュの箱1つです。
「基本的にはまずシンプルなモチーフから始めて」(イラスト講師たか)
「ティッシュの箱とかそのレベルで始めるんで結構思ったよりシンプルで大丈夫」(イラスト講師たか)
手順は5つです。
画面の端に、光がどちらから来るかの矢印を1本描く(5分)
箱の見えている面に、1・2・3と番号をふる(5分)
明るい色・中くらいの色・暗い色の3色を作る(5分)
光の方を向いている面から順に、番号の面を3色でベタ塗りする(10分)
画面から離れて引きで見て、箱に見えるか確かめる(5分)
この練習で気にしないことがあります。 ぼかしとグラデーションです。この30分では使いません。
3色の境目をはっきり残すと、面の向きを決めた場所と、決めずに塗った場所が、そのまま目に見えます。
これは、エアブラシを最後のグラデーションだけに残すという、講座で語られている縛りと同じ考え方です。 使える道具を減らすと、面を見るしかなくなります。 面を見て塗った30分は、影の場所を決める練習になります。
まとめ: 陰影は塗る前に決まっている
影をつけても立体的に見えないのは、影の場所を決めないまま塗り始めているから。
陰影とは、物体の面が光に対してどちらを向いているかの結果として生まれる明暗のこと。
複雑な形は、箱・円柱・球体という基本形体に置き換えてから光を当てる。
まずはティッシュの箱1つを、3色でベタ塗りして引きで見る。
陰影は、手を動かす前の、見る作業で決まります。 塗りの練習量を増やす前に、見る順番のほうを変えられます。
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引用の出典は『塗りの基本〜陰影の立体とデザイン編〜』(講師: イラスト講師たか)です。