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フォーマルジャケットやコートにできるシワ『着衣とそのシワ』

フォーマルジャケットやコートにできるシワ『着衣とそのシワ』

本記事は書籍『シワの描き方マスターガイド リアルで美しいシワ表現を描く』の抜粋記事です。
ホビージャパン様から、ハリウッド映画のストーリーボードアーティストとして活躍するKelly Gordon Brine(ケリー・ゴードン・ブライン)先生が、シワの描き方を完全ガイドした1冊の一部をご提供いただきました。今回はフォーマルジャケットやコートにできるシワについて紹介します。


フォーマルジャケットやコートにできるシワのパターン

フォーマルジャケットやコートは、身体に沿うように作られ、また肩からぶら下がる形になることでシワができにくいデザインになっているので、格調高く、人体の理想的な姿を演出します(9.24)。このようなデザインのポイントは、裁断のしかたと肩にパッドを入れることです。ジャケットの腕は、袖が下向きになるように身頃に取り付けられています。その結果、腕を体の横に垂らしたときに、脇の下に余分な生地がなく、袖もシワができずに円筒形を保つことができるのです。 フォーマルジャケットは腕の動きが制限されますが、シャツでは制限されません。カジュアルなジャケットは裁断が大きめで、シャツと同じようなシワができます。肩パッドはなく、ウエストにゴムが入っていたり、ポケットが斜めについていたりします。

9.24 フォーマルジャケットに見られるシワのパターンを示した図。ジャケットのシワはシャツより少ないが、似たところはたくさんある。ジャケットのシワは、肩と腕の位置の変化によって生じる。ジャケットの肩はパッドで硬くなっているため、肩を上げてもシワはできない。その代わりに、首の後ろ側にシワができるようになっている

ジャケットの肩と首にできるシワ

腕を上げても、肩は上がる場合と上がらない場合があります。肩が上がると、その側の鎖骨が首の下の関節部分を中心に上方に回転し、肩が耳に向かって大きく内側に弧を描くように動きます。ジャケットの肩は硬く作られているので、首の後ろに円筒屈曲シワができます。 このシワは、首の後ろと両脇にできるU字型の溝になります(図9.25)。

9.25 ジャケットの肩は硬いので、肩を上げるとU字に曲がった円筒屈曲シワができる。U字型の溝は、首の後ろ側から側面にかけてできる

肩を前後に動かすとできるジャケットのシワ

腕を少しでも上げると、肩の袖付け部分の上側が圧縮され、下側は引っ張られます。これにより、布は折れて袖側の部分が滑り上がり、望遠鏡シワができます。 ジャケットのボタンを留めていると、ラペル(下襟。洋服の襟に続く身頃の折り返し部分)が曲がります(図9.26)。

9.26 肩が前後に動くと、ジャケットの背中にはいくつかのシワができる。フェストゥーンシワ、首の部分にできる円筒屈曲シワ、袖にできる望遠鏡シワ、肘にできる円筒屈曲シワと扇形シワ、胴体と袖の側面に沿ってできる剪断シワに着目

肩は前に出すと弧を描くように動き、弧の大きさは鎖骨の回転で決まります。この回転により、肩は前方に移動するだけでなく、身体の正中線に向かって内側に移動します。

肩を後ろに引いた場合も、鎖骨は弧を描きます。この回転のため、肩は後ろに移動するだけでなく、正中線に向かって内側に移動します。肩が後方に移動すると、ジャケットの胸部分が引っ張られ、ボタンが留めてある場合は、肩から一番上のボタンまで伸びる剪断シワができます。背中の布は圧縮され、肩から肩にかけてフェストゥーンシワができます。


以上、ホビージャパンの技法書より『シワの描き方マスターガイド リアルで美しいシワ表現を描く』(著: Kelly Gordon Brine(ケリー・ゴードン・ブライン))の抜粋記事でした。 Amazonなどで絶賛発売中です。
シワの描き方マスターガイド リアルで美しいシワ表現を描く by Kelly Gordon