腰に手を当てるポーズが不自然になるのは、手ではなく「体の傾き」が原因
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手をどこに置けばいいのか分からない。 資料のとおりに手を描いたのに、浮いて見える。 腰に手を当てたはずなのに、なんだかぎこちない。
どれも同じ原因から起きています。 棒立ちの体に、手を後から置いているからです。
腰に手を当てるポーズを描くと、どこか不自然になる。そういう方向けの記事です。
左が棒立ち、右がコントラポスト
左は2本の赤い線が平行、右は逆向きに傾いている
なぜ腰に手を当てるポーズは不自然になるのか
手の形の問題ではありません。 肩を結ぶ線と腰を結ぶ線が平行なまま、手だけを腰に置きにいっているからです。
ここで言う棒立ちとは、肩を結ぶ線と腰を結ぶ線が平行な立ち方です。 体がこの状態のままだと、手をどれだけ丁寧に描いても、貼り付けたように見えます。
この症状は、講座の中でも名指しで出てきます。 『筋肉の描き方基礎講座〜解剖学まで学べる実践式レッスン〜』(講師: かまた)は、こう切り出します。
「絵を描いていて、立ちポーズがなんだか硬い、動きがなくて人形みたい、そんな風に感じたことはありませんか?」(かまた)
画面の文字は「棒立ち…」「硬い…」「ぎこちない…」
同じ症状は、別の講座にも出てきます。 『イラスト上達に直結するクロッキー活用術』(講師: 五七翔二)では、こう言われています。
「なんか手足はしっかり動かしてるはずなのに ポーズに動きがないように見えるっていう経験ありませんか」(五七翔二)
POSEMANIACSにも、「腰に手を当てるポーズ」という言葉で検索して来る人がたくさんいます。 つまずいている人は多く、そのほとんどが手のほうを見ています。
浮いて見える理由は、体の側にあります。 棒立ちの体は、腰も肩も左右が同じ高さで、手を乗せる場所ができていません。 そこへ後から手を置くから、手だけが体の上に乗った状態になります。
これは才能やセンスの問題ではありません。 決めるものの順番が、逆になっているだけです。
手だけ描き直しても、浮いて見えるのはなぜか
手が、胴体から生えた末端だからです。 手首の向きは、肩と肘と胴体が決まってから決まります。 手だけを消して描き直しても、つながっている側が動いていないので、同じ場所に戻ります。
手が苦手だと感じたら、手を練習する。 検索してもいちばん多く出てくるのは手の描き方で、そう考えるのは自然です。
ここで省略されているのは、手が腕の先にあり、腕が胴体につながっているという前提です。 腕のつながりについて、かまたさんはこう説明します。
「腕は肩の三角筋から肘の関節 そして手首へとつながります」(かまた)
手・肘・肩が赤い丸で結ばれている
つながっている先の胴体も見ておきます。 胸郭と骨盤——肋骨のかたまりと腰のかたまり——について、五七翔二さんはこう言います。
「手足がついている根っこの幹のところを構成している要素になります」(五七翔二)
そのうえで、動きが出ない絵で何が起きているかを説明します。
「胴体のひねりとか反りとかがうまく表現できていないから そこと連動している腕や足の動きがですね 強調できずにむしろ相殺してしまっている状態」(五七翔二)
つまり、胴体が決まっていないと、その先の腕も手首も行き先を失います。 手だけを直しても、戻ってくる先が同じままです。
同じ1枚でも、最初に決めるものが違うと詰まる場所が変わります。
手から描くと、体の傾きが最後まで決まりません。崩れたとき、どこを直せばいいのか分からなくなります。 体から描くと、体の傾きが先に決まります。崩れたときは、傾きか手のどちらかを描き直せば済みます。
手首の向きは、体の傾きのあとに決まる
決めるものは3つです。体の傾き、手を乗せる場所、腕。 手首の向きは、この3つが決まったあとに残りとして決まります。
胴体の動きには、ひねりも反りも傾きもあります。 腰に手を当てた立ちポーズでまず効くのは、傾きです。
コントラポストとは、どちらかの足に体重をかけて立つポーズのことです。
手順1: 体重を乗せる足を決めて、腰と肩を逆に傾ける
最初に決めるのは、どちらの足に体重を乗せるかです。
「コントラポストは、どちらかの足に体重をかけて立つポーズのことです。」(かまた)
体重を乗せる足が決まると、腰と肩の傾きもそこで決まります。
「体の重さが片方の足に乗ることで、腰や肩が少しずつ反対の方向に傾きます。その時、背中はゆるくS字の形になり、力を抜いたような自然な立ち方に見えるのです」(かまた)
冒頭に置いた2枚は、この違いを並べた画面です。
「まっすぐ立ったポーズ、棒立ちと比べると コントラポストの方は重心が片方に寄っていて 体に流れができているのがわかります」(かまた)
まっすぐ立った絵にも使い道があります。 硬さを出したい絵では傾きを小さく、自然に見せたい絵では傾きをはっきりつける。 傾きの大きさは、そのまま絵の印象の選択になります。
手順2: 腰骨のとんがりに手を乗せる
次に決めるのは、手を乗せる場所です。 私たちが目印に使うのは、腰骨のとんがりです。
腰骨がどこにあるかは、自分の体で確かめられます。 『即効上達!難ポーズ完全攻略の極意』(講師: 五七翔二)では、こう言われています。
「腰骨ってどこですかって言われたら だいたい腰あたりにある骨のとんがったところを 触ると思うんですよ」(五七翔二)
画面の書き文字は「腸骨稜が高さのアタリになる」「座骨を結んだラインが奥行きのアタリになる」
腰に当てた手のひらが乗るのは、このとんがりのあたりです。 手順1で腰を傾けていれば、左右のとんがりは高さが変わります。 手を乗せる場所は、体の傾きを決めた時点でもう決まっています。
手順3: 腕は肩から描いて、手首を最後にする
腕は肩から描き始めます。肩、肘、手首の順です。 私たちが手首を最後に回すのは、手首の向きが前の3つの結果として出てくるからです。
肩を先に置く理由は、腕全体の向きがそこで決まるからです。 『即効上達!難ポーズ完全攻略の極意』の実演でも、腕は肩から入ります。 腰をひねるポーズで両腕を描く場面です。
「特にどこかっていうと肩関節まず重要です」(五七翔二)
講師が画面で示しているのは、手前の肩と奥の肩です。 2つの肩を結んだ線が斜めになっていて、そこから左右の腕が伸びていきます。
腕は肩から肘、肘から手首へつながっています。 その順で描けば、手首の向きは前の3つが決めてくれます。
描いた絵が棒立ちかどうかは、肩と腰の2本の線で分かる
描き上がった絵に、線を2本引いてみてください。 1本は左右の肩を結ぶ線、もう1本は左右の腰骨のとんがりを結ぶ線です。 この2本が平行なら、棒立ちのサインです。
かまたさんは、こう言い切ります。
「コントラポストは片足重心による肩と腰の逆の傾きが自然な立ち方を作ります」(かまた)
2本の線が逆向きに傾いていれば、体重は片方の足に乗っています。 そこまで来ていれば、手は体の上に乗るべき場所へ乗ります。
見る場所はもう1つあります。胴体の向きです。
胸郭とは肋骨のかたまり、骨盤とは腰のかたまりです。
「胸郭と骨盤の向きって同じですかそれとも異なってますかっていうあたり ここをチェックするのがかなりおすすめです」(五七翔二)
肩と腰の2本の線で傾きを見て、胸郭と骨盤の向きで胴体を見る。 この2つが、描いたあとに自分で回せる確かめ方です。
上達への最初のステップ: 鏡の前で腰に手を当てて、その傾きを描く
用意するのは、鏡と紙とペンです。
鏡の前に立って、腰に手を当てる(1分)
どちらの足に体重が乗っているか、腰と肩がどちらへ傾いているかを30秒見る
見えたとおりに、体重の足、腰の線、肩の線、肩から肘、手首の順で1体描く(20分)
この練習で気にしないことがあります。 顔と、服と、指の形です。
見るのは2つだけです。体重がどちらに乗っているか、腰と肩がどちらへ傾いているか。 傾きの向きは覚えなくて大丈夫です。鏡の前の自分の体に、その日の答えが出ています。
自分の体で1体描くと、腰と肩が逆に傾く感覚が手に残ります。 次の1枚から、手より先に体の傾きを決められます。
まとめ: 手より先に、体の傾きを決める
腰に手を当てるポーズが不自然になるのは、棒立ちの体に手を後から置いているから
決める順番は、体の傾き、手を乗せる場所、腕。手首の向きは最後に決まる
手を乗せるのは腰骨のとんがり。腰が傾けば、左右のとんがりの高さも変わる
描いた絵は、肩と腰の2本の線と、胸郭と骨盤の向きで確かめられる
手が浮いて見えるかどうかは、体を先に決めたかどうかが、いちばん目につく場所に出ているだけです。 決める順番を1つ入れ替えれば、いまの実力のまま絵は変わります。
体の傾きと関節の位置関係を、難しいポーズの中でどこまで決めていくか。 その判断は、
『即効上達!難ポーズ完全攻略の極意』
(講師: 五七翔二)の実演で見られます。 腰に手を当てるポーズで順番が分かった今が、その入り口です。
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この記事は『即効上達!難ポーズ完全攻略の極意』(講師: 五七翔二)『筋肉の描き方基礎講座〜解剖学まで学べる実践式レッスン〜』(講師: かまた)『イラスト上達に直結するクロッキー活用術』(講師: 五七翔二)の内容をもとにしています。