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ネコを描いてみよう

ネコを描いてみよう

今回の制作の鍵となるのは、透明水彩特有の表現です。水彩画の魅力を最大限に引き出す「水の力」に焦点を当てながら、リアルで生き生きとした猫を描き上げていきましょう。


ステップ1:たっぷり「水」を使って、猫の固有色を塗る

最も重要なポイントは、「水は思っているよりも多く使う」こと

まずはオレンジ色で猫の固有色を全体的に塗っていきます。この時、絵の具に水もたっぷりと含ませてみてください。

色の広がりを生む

紙の上の水分が、塗った色の顔料を自然と広げてくれます。これこそが、水彩画の大きな魅力である「にじみ」や「ぼかし」といった豊かな表情を生み出す水彩表現の基礎となります。

美しいグラデーション

また、水で薄めることで、色が鮮やかで美しいグラデーションになりやすくなります。特に類似色(近い色)を活用すれば、最初の段階で華やかな下地を作ることができ、毛の色との差別化も容易になります。

乾かないうちにアクセントカラーや他の色を足す

水彩用紙の重要性

うした水の表現は、専用の水彩用紙があってこそ可能です。紙によってにじみ方や表情は全く異なりますので、ぜひお気に入りの紙を探してみてください。

一通り塗り終えたら、一旦完全に乾燥させます。乾燥することで色がどのように変化するのか、次のステップで詳しく見ていきましょう!

ステップ2:乾燥後の変化を活かし、細部で立体感を出す

乾燥後に色が薄くなっているのが確認できると思います。これは水彩特有の現象で、水で薄められた顔料が定着した結果です。この薄い下地(地層)の上に色を重ねていくことで、透明水彩ならではの深みが生まれます。

ベースの類似色を選んで模様を足す

簡単なパレットに複数の色(例:茶色、赤、黄色)を混ぜ、それを元の箇所に重ねてみてください。すると、描画空間の中だけで色が混ざり合い、局所的なグラデーションが発生します。

この技法を、猫の模様や目といったパーツに活用することで、表現の幅がぐっと広がり、よりリアルな立体感を生み出すことができます。

ステップ3:観察と共感から生まれる「毛」の表現

再び乾燥させたら、いよいよ毛の表現や陰影の書き込みという最終段階に入ります。

毛の統一性を意識して細かく描き足す

毛の統一性の意識を怠ると、せっかくの水彩表現よりも毛の違和感の印象が強く出てしまいます。

  • 資料の活用: 参考画像などをよく観察し、全体の違和感を作らないようにしましょう。
  • 「感触」の想像: 私なりのコツですが、実際にこの猫を撫でた時に「どんな感触になりそうか」を想像しながら描くと、生き物らしい表情が生まれます。

デッサン的な技法も大切ですが、それ以上に動物から受けた第一印象、その「らしさ」を大事にすることで、あなたの絵はより良いものへと繋がるはずです。


動画本編ではより詳しく解説しながら、実際に描いている様子を紹介しています。

動画講座本編はこちら